「流行型の予想が外れると効かない?」インフルエンザワクチンの疑問に小児科医が回答

コロナ禍でも他の感染症は流行し得る

 

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって起こる感染症で、例年12月頃から翌年の2月頃まで流行します。子供は風邪にかかっても元気なことが多いものですが、インフルエンザの場合は急に高熱が出たり、身体の節々が痛くなるといった特徴もあり、ぐったりすることが多いでしょう。5歳未満では、稀に中耳炎、肺炎、インフルエンザ脳症などを起こすこともあります。

また、インフルエンザに感染した場合は他の人にうつさないよう学校保健安全法により、発症日を0日として5日経過するまで、かつ乳幼児は解熱した日を0日として3日(小学生以上は2日)経過するまでは、学校や保育園、幼稚園、こども園などを休まなくてはいけません。

「コロナ禍で感染対策をしているから大丈夫」と思う方もいるかもしれませんが、この夏は子供たちの間で新型コロナウイルス感染症、RSウイルス感染症、手足口病、ヒトメタニューモウイルス感染症が流行し、なかには複数に同時感染している子もいました。また、全国的に小児科の発熱外来が混雑し、すぐに受診できないことも。ワクチンで防げない感染症もありますから、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザのようにワクチンがある場合は接種しておくことが大切ですね。

インフルエンザワクチンは、生後6カ月から接種可能です。13歳未満の場合は2〜4週間あけて2回、13歳以上の場合は1回接種します。ただ、厚生労働省のサイトにも書いてあるのですが、WHOは9歳以上は1回接種が適切だとしています【*1】。受験生や持病がある子供以外は、9〜12歳でも1回でいいかもしれません。米国予防接種諮問委員会(US-ACIP)は過去に2回以上インフルエンザワクチンを受けていれば、生後6カ月〜8歳でも1回でいいと言っています【*2】。

「インフルワクチンは効かない」はウソ

それなのに毎年、秋冬になると、以下のようなデマが流布されてしまいます。それぞれの間違いについて解説しますので、騙されないようにしましょう。

①「インフルエンザのワクチンには効果がないことが証明されている」
1987年に発表された『前橋レポート』を根拠にしていることが多いのですが、当時はインフルエンザの迅速診断キットもPCR法もなく診断基準が非常に曖昧でした。さらにワクチンを接種した割合も低かったため、現在では、ワクチンに効果がないという説は完全に否定されています。

②「流行するインフルエンザウイルスの型は毎年違うから意味がない」
インフルエンザワクチンは、毎年次シーズンに流行する型(4種類)を予想して作られているので、流行型とワクチンの型が一致しないこともあります。しかし、それでも効果がないということはなく、約60%の確率で予防することができるため、インフルエンザワクチンは推奨されているのです。しかも感染した場合に重症化を防ぐことができます。アメリカの研究では、インフルエンザワクチンの接種によって、2010〜2012年のシーズンに小児集中治療室に入るリスクを74%も減らしたことがわかりました。

ときどき「WHOもインフルエンザワクチンの効果を否定している」というデマが流れることもありますが、WHOのウェブサイトには「予防接種はインフルエンザウイルスに起因する感染症や重大な結果を防ぐもっとも効果的な方法です」と書かれています。日本の厚生労働省も毎年インフルエンザワクチンを接種するようすすめています。

接種費用については、お子さんの場合は公的助成が受けられる場合もありますから、お住まいの自治体のウェブサイトなどをみてくださいね。

参照)森戸やすみ『小児科医ママの子供の病気とホームケアBOOK』(内外出版社)